こんにちは。放浪のバックパッカー旅すけです。
いつも股旅ブルースをご覧頂きありがとうございます。

世界を股にかけて旅する股旅ブルース。
今回はインド世界遺産の代表、タージ・マハルを旅します。
世界中に知られる豪華絢爛な霊廟は愛と悲しみに溢れた場所でした。

激動の歴史を伝えるアーグラ城塞は、もうひとつの“赤い城”

インドの観光名所と聞いて、真っ先に思い浮かぶのはもちろんタージ・マハルだろう。
蒼天に屹立する白亜の建物はあまりにも有名で、世界遺産の代名詞と言っても過言ではない。しかし、この建物が実は墓所である事はあまり知られていない。
ムガール建築の粋を極めたデザインは、一見すると宮殿のように見えるが実は長きに渡る王室の歴史を映し出す悲しき廟であったのだ。

タージ・マハルはデリーから南に180km、ウッタル・プラデーシュ州の街アーグラにある。
ガンジス川で有名なバラナシから寝台列車に乗った僕は、翌日の早朝アーグラ・フォート駅に到着した。

ちなみにアーグラにはカント駅とフォート駅のふたつがあり、列車の本数はカント駅のが圧倒的に多いのだが発着によって違うので注意してもらいたい。
駅からタージ・マハルまでは3kmぐらい。
リキシャーで大体15分ぐらいだが、ちょっと待ったー!!
アーグラにはタージ・マハルと並ぶ世界遺産がもうひとつあるのだ。
その名もアーグラ城塞
アーグラだけに、そのまんまかよっ!てツッコミを入れたくなるが、ここも人気の観光名所なのだ。

アーグラ城塞は1573年、時の皇帝アクバルがデリーからアーグラへの遷都に伴い着工した城塞。
ラール・キラーと同じく赤砂岩で築かれているため、通称「赤い城(レッド・フォート)」ともよばれている。
どちらかというと、デリーの方が一般的のようだが、こちらも負けず劣らず壮麗な建築と真紅に染まった美しい姿を見せてくれる。
しかも、このアーグラ城塞、フォート駅からは目と鼻の先。
ちょいと立ち寄るのには持ってこいの観光地なのだ。
駅を出てお堀沿いを歩くと入場ゲートに辿り着く。

巨大な城壁が現れ、その大きさに圧倒された。
料金を払って城内に入ると、両側を塀に囲まれた通路を通る。
奥には、皇帝たちの宮殿や神殿が設えてあり、当時繁栄を誇ったムガール帝国の強大な権力を物語るようだ。

しかし早朝に到着したとは言え、場内はガラ空き状態。
世界遺産と言えば、いつも人でごった返すが、こんな閑散としていると、一瞬で見終わってしまいそう。
でも気分はもうジュエリーのCMに出てくる俳優ね
1人であんなポーズ、こんなポーズも撮れちゃう。

しばらく散策すると、上階にテラスのような場所を見つけた。
あら、お茶するには丁度よい所、熱いチャイで一服しようかしらって出来ない出来ない!
テラスからは城の北側を流れるヤムナー川が一望出来るし、彼方には白い建物も。
まさかタージ・マハル?ここから眺められるなんて素敵だなー。
呑気に耽っていたのだが、実はここ、タージ・マハルとも深い関係があり、悲劇の舞台となった場所でもあったのだ。

皇帝アクバルから王位を継いだのが5代皇帝シャー・ジャハーン
彼は妃であるムムターズ・マハルを溺愛していたが、36歳という若さで亡くなってしまう。痛み悲しんだ皇帝は彼女の為に霊廟として、タージ・マハルを建立するのだが、その建築予算は莫大で国が傾く程だったという。
その後、我が子らに謀反を起こされたシャー・ジャハーンはアーグラ城に幽閉され、死去するまで愛する妃の眠る美しいタージ・マハルを眺めながら過ごしていたのだ
なんとも美しい悲劇!愛する妃の墓を眺めながら幽閉されるなんてロマンチストには堪らないだろう。
皇帝の想いは分かり兼ねるが、テラスから見える白き廟を見ているとムガール時代にタイムスリップしたような気分になるのだった。

アーグラ城塞
Agra Fort
インド 〒282003 Uttar Pradesh, Agra, Rakabganj, アーグラ・フォート
Agra Fort, Rakabganj, Agra, Uttar Pradesh 282003
☎+915622226431
http://www.agrafort.gov.in/indexNew/index.html

完全なる不完全。タージ・マハルは深き愛の霊廟。

いよいよ、インド旅のハイライト、タージ・マハルに向かう!
インドと言えばタージ・マハル、タージ・マハルと言えばインド。
秋と言えば秋刀魚かのようにその代名詞にして定番観光地。
世界中の誰もが知る世界遺産の王である。
あー、なんだかドキドキしてきたぞ。
アーグラ城塞からリキシャーで向かい受付でチケット購入と荷物検査を終わらせると、そこからは徒歩で向かう。

程なくすると、巨大な正門を潜るのだが、その奥に丁寧に仕上げられた庭園を挟んで白亜の墓所が現れた。

手前から徐々に小さく見える庭園の緑と、蒼天の青、そしてタージ・マハルの白と、その姿は、視界に入る全てが計算し尽くされて、一枚の絵画のよう。
総大理石の輝く外装はムガール建築の真骨頂、天井のドームや、ミナレットも全てが左右対称で寸分違わぬ造形美に息を飲む事だろう。
更に近づいて見ると大理石を彫って作られたレリーフや、象嵌細工と呼ばれる繊細な装飾が施されている。
象嵌細工では黒大理石を埋め込んだ芸術的な模様や、イスラム教の聖典であるコーランの一節が描かれており、その精緻な美しさも必見である。

実は完璧に見られるタージ・マハルにも唯一、非対称の場所があるのをご存知だろうか。
それは実際の棺が安置されている場所で、ムムターズ・マハルとその隣りにはシャー・ジャハーンの棺が置かれている。
当初はヤムナー川の大河に自身の霊廟を対で建立する予定だったのだが、その夢叶わず愛妻の隣で永眠する事となったのだ。
生前、妃を深く深く愛していたシャー・ジャハーン。
悲劇の皇帝は完璧なる霊廟にて何を思うのだろうか。

タージ・マハル
Taj Mahal
Dharmapuri, Forest Colony, Tajganj, Agra, Uttar Pradesh 282001 インド
☎+915622227261
https://www.tajmahal.gov.in/