こんにちは。中年バックパッカー旅すけです。
いつも股旅ブルースをお読み頂きありがとうございます。
世界を股にかけて旅する股旅ブルース。
前回まで、アイト・ベン・ハドゥの蛇使いと楽しく過ごしタジン鍋で腹ごしらえするのでした。
今回はいよいよカスバの集落に潜入します。
栄光の影を残す世界遺産アイト・ベン・ハドゥ
カスバが望めるレストランは、アイト・ベン・ハドゥから河を挟んだ向かい側にあった。観光地の為か飲食店やホテルが軒を連ね、通りを旅行者を乗せたツーリストバスやワゴン車が行き交っている。アマールから紹介されたガイドがカスバまで案内してくれた。
入口にかかる長い橋まで下って行くと、巨大なカスバが眼前に広がりその迫力に圧倒された。
それは城塞とは名ばかりで、まるで大地から大きく盛り上がった砂丘のようであり、おぼろげに見える集落の窓が無数の巣穴を点在させた蟻塚のようでもあった。
城壁の日干し煉瓦の黄土は灼熱の太陽に照らされ、その脆さを露呈するかのように耐えていた。
集落はカスバの裾野から頂上まで大きく広がり、過去の繁栄を物語るようだった。交易の中継地として知られたここも今でこそ遺跡として在るが、昔は大きく栄えた要衝だったのだろう。
大半の住人達はすでに川向うの対岸側に移り住んでしまったらしいが、今でもこのカスバに残り暮らし続けている家族もいるらしい。住居内部の天井は木材の上に竹材を渡して土をのせた土造で遮熱性を高めていた。所々に在る塔には銃眼も備わり、城塞としての防衛力の高さも窺える。
アイト・ベン・ハドゥはこの景観の美しさから、数ある歴史映画のロケ地となった。『グラディエーター』『アラビアのロレンス』等映画好きにも垂涎の場所である。
山頂まで登ると対岸の居住地まで見渡せた。頂上は河下からの風がそよぎ火照った体に心地よい。
生温かい風を浴びながら当時のハドゥ族の暮らしぶりに思いを馳せた。マラケシュからワルザザードまで街道の途中にあり幾多の襲撃も住民たちを守ってきた城塞。決して快適とは言えないこの地で生きる事は筆舌に尽くしがたいが、私たちに多くを伝えるこの遺跡群を後世まで残して欲しいと切に願う。
さーて、アマールの所まで戻るかな。
下山して駐車場まで帰ってみるとアマールと男性2人が口論してる様子。
何やらやぶさかでない・・。
アマールは僕に気づくと駆け寄って来て、
”おいっ!さっきのランチ代払ったのか??”とのたまう。
”いや、払ってないけど?ツアー代に込みだろ?”
”ノー!!食事代はツアー代に入ってない!今すぐ支払ってくれ!!”
”わーかった、払うよ!!”
と傍の2人に支払った。どうやらこの2人は先ほどのレストランの店主らしい。
払った後も、まだアマールと口論しているしん、しかもアラビア語だから何言ってるかわからんだしん!
その後、出発後も車中で一時、険悪なムード。まだ、グズグズ言ってくるので
こちらも、知らなかったんだからしょうがねぇじゃねえか、払ったんだからいいだろうと言い返す。
モロッコの男たち、ただでさえ暑いんだから、そんなに燃えないでくれ!
まぁ、支払ってない僕が悪いのだが・・。
今回も股旅ブルース、最後までお読みいただきありがとうございました。
次回、29話 ワルザザードへカスバ街道を駆け抜けろ
をお送りします。
Ksar Ait Ben Haddou
قصر أيت بن حدو
Aït Benhaddou, モロッコ
☎+212627286740/8時00分~19時00分
http://www.kasbah-ait-ben-haddou.com/