チャドルを纏った街の人。モロッコの日常が垣間見える

こんにちは。中年バックパッカー旅すけです。
いつも股旅ブルースをお読み頂きありがとうございます。

世界を股にかけて旅する股旅ブルース。
前回まで、絶景のトドラ峡谷に感動するも、アマールの衝撃の発言にまたもやヤキモキするのでした。
今回はメルズーガ近郊の小さな市場を訪れます。

見るもの全てが摩訶不思議、モロッコのローカル市場を探検!

モロッコと聞いてサハラ砂漠をイメージする人はあまり多くないだろう。
なぜならば、カラフルでエキゾチックな雑貨大国モロッコから芒漠たる広大な砂漠を連想するのは余りにも困難だからである。
実際、日本人にとってサハラ砂漠から思い浮かぶ外国といえば、
おそらく大半の人がエジプトを上げるだろう。
確かに、エジプトと言えばサハラ砂漠の中をイスラムの服を来たアラブ人がラクダに乗っている写真やポスターを想起してしまう。どこかの旅行会社や紀行番組が定着させたのだろうが、外国人が忍者や侍を日本のイメージとして持っていたように、これも時代遅れなイメージじゃないかと思えてならない。

そのサハラ砂漠はアフリカ大陸北部を覆うように位置する。
その広さは南北1700キロにも及び、1000万平方キロメートルにもなる面積はアフリカ大陸の3分の1近くを占め、アメリカ合衆国の面積とほぼ同じと言われている。
砂漠に面した国は南北合わせて11ヶ国。
そのひとつであるモロッコでは、東部の街メルズーガがサハラ砂漠への玄関口となる。
今回の旅にはサハラ砂漠のキャンプもツアーに入っており、旅のハイライトとなっていた。

トドラ峡谷を出発した後はそのメルズーガに向かうのだが、その前にアマールが近郊の市場を案内してくれるらしい。以前書いたが、僕はローカル市場が大好きである。食材の盛られた籠や吊るされた干物とか現地の生活感漂う空気がどことなく懐かしく、旅先でもつい立ち寄ってその喧騒の中に身を置いてしまう。
何よりもあの据えたような匂いがいい。老朽化した建物と様々な食材が織りなし、なんとも言えない匂いを醸し出してくれる。これも何十年と積み重ねられた営みの証だろうか。

到着したのは市場や商店街が集まった街だった。
市場自体はマラケシュのように数百の商店が並び、天井は竹材による簡素な屋根が備えつけられていた。
観光客向けの煌びやかなランプや雑貨の店はほとんどなく、生鮮食品や衣服雑貨等、現地の生活に密着した純ローカルな市場だった。


市場から出ると商店街が並んでいたが、中央の広場には多数のロバが柵の中で飼育されていた。聞けばロバのレンタルをしているらしく荷物を運んだり農作業に使役したり地元では欠かす事のできない商売らしいのだ。餌の量も膨大であり獣臭も尋常ではない。あまり衛生上良くはなさそうだが・・。
モロッコでは日本で中々お目にかかれない商売をよく見かける。
蛇使いやハマムはまだしも、伝統衣装に身を包んだ水売りや、体重を測ってくれる体重屋は一見すると異質ではあるが、それが商売として成り立つモロッコの国民性が可愛くて愛着を感じずにはいられない。

ふと見ると、大きな樽にこんもりと盛られた粉を見つけた。
それは赤、茶、黄色など20色ぐらいの粉が所狭しと店先に並んでいた。
その奥には体格の良さげな男性店主が腰掛け、こちらを手招きしている。

聞くと料理用のスパイス屋らしく確かに芳醇な香りを漂わせていた。
なるほど、黄色の粉はターメリック、茶色はコリアンダー、赤色はチリペッパーだろうか。
モロッコではタジン鍋に代表されるように料理にスパイスをよく使う。
日本の商店でも樽に山成りに盛られている味噌をよく見かけるが、同じ調味料同志、売り方も同じなのかも知れない。

スパイスだったらカレーにも使えるし、買ってみるか!大将、おすすめは何だい?

“コリアンダーが使いやすいし、このスパイスミックスがおすすめだ。煮込みやタジン鍋に入れるだけで味が整う。”

ボブサップに似た親方、中々いい品じゃないか。
モロッコ産スパイスで作る煮込みなんて考えただけで、オラ、ワクワクしてきたぞ!←悟空?

大将、コリアンダーとスパイスミックスを200グラムずつくれ。いくらだい?

“100グラムで100ディルハムさ”

とゆう事は200グラムで2000円ぐらいか。よしっくれっ!!

親方がスパイスをビニールに入れ出したので、こちらも財布を出していると、ふと気づいた。
あれっ200グラムを2種類て言ったんだっけ・・?とゆう事は400グラムで4000円!!ガッデーム!←蝶野?

おいっ親父!さっきのはミステイクだ!!100グラムずつに減らしてくれ!

するとそれまでにこやかだった親方の顔が般若のように変わり、
“おい兄さん、もう入れちまったからもう減らせねぇよ。”

なんだそりゃ、ここはぼったくりバーか!?“親方、頼む!減らしてくれ!”

またもや、ここでも推し問答。モロッコ来て何回揉めたら気が済むのか!ここはインドか!?

“兄さん、勘弁してくれ!じゃあ50グラムずつおまけしてやるからどうだ?”

う〜〜ん、それでも高いけどまぁいいだろう。

とまあ計500グラムものスパイスを買う事になったのだが、そうそう料理に使うわけでもなく、帰国後使い切るのに2年もかかってしまうのだった。美味しかったからまぁいっか!

今回も股旅ブルース、最後までお読みいただきありがとうございました。
次回、32話 サハラ砂漠の茫漠たる世界
をお送りします。