おとぎ話のような不思議な街並みシャウエン

こんにちは。中年バックパッカー旅すけです。
いつも股旅ブルースをお読み頂きありがとうございます。

世界を股にかけて旅する股旅ブルース。
前回まで、現地ツアー終点のフェズにてドライバーとの別れに年甲斐もなくセンチメンタルになる中年バックパッカー43歳なのでした。
今回は青の町並みで有名なシャウエンを訪れます。

全てが青になる。神秘の町シャウエンは藍より青し。

シャウエンと言う町をご存じだろうか。モロッコの北部に位置する人口約3万人の小さな町。
その名前を聞いた事がない人も、その街並みの写真を見ればピンと来る方も少なくないはず。
そう、ここは町全体が青く染められている事で有名な町。度々CMや映画の舞台として撮影されている為、一度は目にした事があるだろう。
町全体と言う表現は少し誇張しているかに思えるが、
一歩足を踏み入れるとそれが断じて嘘ではない事を実感する。

モロッコの旅も終盤に差し掛かる。
なるほど・ザ・ワールドで言えばオーラス恋人選びでキンキンが叫んでる時間だ。
今回の旅でシャウエン行きを決めたのは、その神秘的で謎に満ちた町がモロッコと言う魅惑の国のラストを飾るのに相応しかっただけでなく、ピンクの町マラケシュ、黄色のサハラ砂漠と来て、最後に青の町とカラフルな情景を体感したかったのだ。

早朝、フェズのバスセンターからツーリスト向けのバスに乗車し、約3時間。
シャウエン郊外のバスセンターに到着したのは午前11時頃だった。
この時点でもちらほらと青い家屋が点在し少しずつシャウエンの町が近づいている事が分かる。
タクシーで町の入り口にあたるアイン門まで送ってもらうと一気に人も増え賑わいを見せ始めた。
地元の人々は他のベルベル人と同じく民族衣装のジュラーバやチャドルを纏っておりその暮らしぶりを垣間見せてくれた。

人混みをかき分けアイン門をくぐると、そこはもう別世界、青い景観が目に飛び込んで来た。
青といっても一色だけの単調な色味ではない。
水色もあれば浅葱色、白に近い空色、セルリアンのような天然色等、様々な青味がかった色彩で家屋の屋根や扉、商店の看板、道路に至るまで染め上がり藍色のような美しいコントラストを描いているのだ。
そんな不思議な空間の中で地元の人々が買い物したり談笑したり普通に暮らしているのである。
ここは本当に現実だろうか、その衝撃的な情景はまるでおとぎ話の世界に飛び込んでしまったような倒錯感を感じずにはいられないのだ。

でもこれだけは歌わせてほしい!!♪ありの~ままの~
って雪国でもないのに歌うなっ!
♪追いかけて~追いかけて~って、また吉幾三かよっ!!
これだけ青いと寒々しさも感じてしまう。

シャウエンの町がなぜ青いのか・・?それには様々な説がある。
虫よけの為だったり、暑さから守る為だったり。ムスリムの誇りを忘れない為と言う説もある。
400年以上前、スペインから追われたイスラム教徒がシャウエンに住み着いた時、その誇りを忘れないようイスラムの神聖な色である青色で町全体を染めたのではとも言われているのだ。
童話のように幻想的な町にも起源となった歴史があり、その崇高さにも驚くばかりだ。

さて、散策は続き、町の中心地であるハマム広場まで行ってみよう。
シャウエンの町は山肌にへばり付くように形成されている為、自然となだらかな坂道や階段が増えてくる。マラケシュやフェズのメディナような迷路の街並みを潜り抜け、10分程度歩くと広場にあるグランモスクの巨大な塔が見えて来る。
ハマム広場にはグランモスクだけでなくお土産屋や観光客向けのレストランが軒を連ね、地元民だけでなく観光客にも憩いの場所となっている。

真ん中には大きな杉の木が立ってたり、煉瓦の建物だったり真っ青な迷路に食傷ぎみな所に少しだけ解放される。ここもシャウエン観光のひとつだろう。

2時の礼拝時間が近づくと例のごとくスピーカーから爆音でアザーンが流れ、地元の人々がグランモスクに集まり始める。今日のランチはそんなモスクを眺めながら頂くか。
訪れたのはレストランAliBabaさん。
広場に面したテラス席でゆったりランチを楽しめる。
メニューはウェスタン料理からモロッコ料理まで揃っているので観光客にも人気のレストランだ。
早速頼んだのはモロカンサラダ・スモール(15ディルハム)とチキンのタジン鍋(30ディルハム)。
この旅何回目だろうか・・、しかし飽きないのだ。その店その店で違いもあるしクミンの風味が癖になってまた食べたくなる、菊正宗みたいな料理だ!!

新鮮なサラダは塩気とオリーブオイルの風味が後を引く、オニオンとズッキーニの歯応えも食べ応えあり。アツアツのタジン鍋はポテトとインゲンがてんこ盛り。
中には柔らかく煮込まれた大きなチキンがこっそり隠れてる。
スープに絡んだお肉はコク満点、ラム肉やキョフテも美味しかったが、やっぱりタジンは鶏肉だなと実感させられる。
辺境の地シャウエンまで来たけれど、モロッコグルメはやっぱり間違いない!
町はブルーだけど気分はホットになるのでした。お後がよろしいようで。

今回も股旅ブルース、最後までお読みいただきありがとうございました。
次回、36話 シャウエンのダールザンブラで見果てぬ夢を
をお送りします。

ウタ・エル・ハマム広場(ハマム広場)
Place Outa El Hamam, 57, 91000 モロッコ
http://morocconoworriestours.com/