巨大肉の風格たるや人間すらもひれ伏させるのだ。

こんにちは。放浪のバックパッカー旅すけです。
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世界を股にかけて旅する股旅ブルース。
今回はNYの老舗ステーキハウス・キーンズの巨大肉を味わいます。
有名店の名物はビーフステーキだけではなかった、、それはグルメ死闘の始まりだった。

NYの飽くなき執念。老舗キーンズの巨大肉を食らい尽くせ!!

煌びやかな街ニューヨーク、そこはショービジネスや商業の最高峰。
北アメリカの東に浮かぶ783㎢の小さな島にはブロードウェイやマンハッタンを目指して世界中から人が集まる。
その人口たるや約800万人を越え、全米最大規模と言われている。
そんなニューヨークだが、美食の街としても有名だ。
2020年かの名高いグルメ格付機関ミシュランガイドで星評価されたレストランは76店舗と世界でも5番目に多い。
ちなみに我が日本の東京は230店舗と世界で最も多いとされているので鼻が高い。
そんなグルメを唸らせるニューヨークだが、なんと言っても食べたいのはステーキだ。
極限まで熟成された巨大なアンガスビーフは日本では味わう事の出来ない歯応えとボリュームで感涙する事間違いなしだろう。
想像しただけでよだれがっ!!
普段はスーパーのステーキ弁当しか食べられない貧乏パッカーも今日はなんばグランド花月の舞台から飛び降りるつもりで味わって野郎じゃないか!

だがそこは世界のニューヨーク、ピーター・ルーガーやウルフ・ギャングなどステーキハウスは星の数ほども存在する。
その中でも老舗中の老舗、36番街ミッドタウンにあるとゆうキーンズにお邪魔した。

創業1885年、130年以上もの間ニューヨークで営業しその信頼を築き上げてきたのだ。ピーター・ルーガーやウルフ・ギャングみたいに海外に支店を出していない所も奥ゆかしい。

これはもう最高の夜を演出するのに相応しい!!いざっ肉っっ!!店内に入るとあっと驚く、古くからのアメリカのクラブハウスのような雰囲気。
壁には絵画がふんだんに飾られ上質な空間を醸し出している。
もうそれだけでウツトリ・・。

こんな汚いジーパンとスニーカーでよかったのかしらん?
天井を見上げると更に驚く!夥しい数のパイプが天井に規則正しく並べられているではないか!
普通の木製パイプみたいだけど現代アートみたい。
聞けばこのキーンズ、当初はパイプハウスとして営業していたとか。
当時はアインシュタインやルーズベルト大統領ら著名人も通ったんだとか。
なるほど、このラグジュアリー感はそこから来ているんだな。
席に案内されて早速料理を注文した。
何食べるって?そりゃ当然ビーフでしょうよ!
ビーフはビーフでも熟成お肉!長時間寝かされて旨みが凝縮された肉持って来なさいよっ!!となぜかイラついているおネエのようにオーダーしたのだった。
待つことしばらく、豊潤な香りと共にウェイターが大皿を持ってきた。

キターっ!!これこれっプライムポーターハウスフォー2($130)!!
こちらは食用牛の腰の部分、ジューシーで柔らかく味わい深い。
栄養価も高く厳格な基準の元ブランド化されている。
TボーンやLボーンはよく聞くがポーターハウスはその中でも最上級のお肉なのだ。

ぬぉぉぉ、この威風堂々とした風格と存在感!
どうだと言わんばかりの焼け付くサウンド、そして他を威嚇するようなそそり立つボーン!!これぞ正にNYのステーキ!!

ウェイターに切り分けてもらったので、早速肉を食らう!
口いっぱいに広がる肉のうま味、歯ごたえは柔らかすぎず程よい弾力で顎を優しく迎え入れてくれるよう。
そして鼻腔を抜けるこのビーフの香り。
極上の瞬間が訪れる。
もう飲み込みたくない、飲み込みたい、どっちなのか!?
工藤静香の歌のように戸惑うもゴクンと通るのど越し!
あ~幸せだ~!いやいやもう止まらない。
テーブル一杯のステーキもペロリと平らげてしまった。

食後にオシャレにティーなんてのみながら、トゥースピックしているとある事に気づいた。
あれっよく見ると、観光客らしき人たちは集団でポーターハウス食べてるけど、現地のアメリカン達は全然違う肉食べてないか?
それはポーターハウスのように2~3人前の巨大な肉ではなく一人一皿ずつ巨大な肉を食べている。
見た感じビーフのようでもないし・・、なんだあれはっ!?
ヘイッウェイター!!ワッツイズダッツ???

“あれこそが当店の名物、レジェンダリーマトンチョップでございます”

な~~~ぬ~~~!!NA~~~NU~~~!!
なんと有名ステーキハウスキーンズの名物はエイジングビーフのポーターハウスではなくマトンチョップだったのだ!!
なんてことだ!!俺とした事がとんだミステイク!!MISTAKEだぜ!
しかもマトンだって!!ビーフじゃないのか!!普通ステーキハウスと言えばビーフだろ!?いきなりステーキもロイホも一番の名物はビーフだぞ!!
もう腹いっぱいで食えないしOMGやってしまった!!
でもせっかくNY来たのに後悔したくない!!
ヘイッウェイター、予約だ予約!!

そんなこんなで明後日、リベンジしてしまったキーンズ。
神よ、愚かなイエローモンキーを許した給え。
財布の中身はうら寂しく、なんばグランド花月どころか、体育館のステージから飛び降りるほど・・。
いや、それでも食べたいレジェンダリーマトンチョップ!!
なんつってもレジェンダリーだからな、いやでも期待は高まるのだ。
ヘイッウェイター!!プリーズレジェンダリーマトンチョップ!!
今夜も多くアメリカンが集っているようだが、やはり皆巨大肉の塊を頬張っている。
ふふっそうだろう、俺のチョイス間違ってないぜ←すでにまちがえてるのだが・・。
ウェイターが不敵な笑みを浮かべながらその物体を運んで来た。
おまえら、このシングスを喰えるのか?あぁもちろん瞬殺してやるぜ。
互いに交わした視線がこれから起こる死闘を物語っているようだった。
見よっ!!これこそがレジェンダリーマトンチョップ!!

純白のテーブルに鎮座するは、グランドキャニオンか、エアーズロックか!?
巨大すぎてもはや食用とは思えない規格外の圧倒的存在感!
映えるどころではない!肉表面のツヤと照りは神々しく、この世の無情を照らす光明のよう!部位は腰のあたりらしいく背骨を中心に分厚い肉の鎧を纏っている。

巨大肉の脳天からナイフをブッ刺してやるぜ、いざっ入刀!!サクッサクッと柔らかい。

頬張る程に切り分けると口に放り込む!
えっマトン!?本当にマトンなのか?
ラム肉特有の臭みや渋みが全くない!歯応えもマトンとは思えないほど柔らかい。
ラムじゃないのか?とゆうか濃厚な旨味はプライムビーフのようだ。

おぉっこれぞまさしくレジェンダリー。
やはりリベンジしてよかった。
これ食べてなかったら、このNY旅本当に後悔する所であった。
ひと口ひと口を噛み締めながら綾波レイのように涙を流すのだった。
泣いてるの?あたし・・。

キーンズを出た後の事はあまり覚えていない。
ぼんやりとした放心状態が続いていたのだ。
あれは本当にマトンだったのか?ラムじゃないのか?ビーフじゃないのか?
そもそもあの物体はなんだったのか?
幾度となく自問自答するうち、いまだ口中に残ったレジェンダリーマトンチョップの後味が恍惚の感覚に引き戻すのだ。
まるで狐につままれたような状態はベッドで深い眠りに付くまで繰り返していた。
この夜の事は一生涯忘れる事はないだろう。

今回も股旅ブルース、最後までお読みいただきありがとうございました。
次回、68話 NYのチェルシーマーケットでオイスターラバー
をお送りします。

Keens Steakhouse
キーンズ ステーキハウス
72 W 36th St, New York, NY 10018 アメリカ合衆国
☎+12129473636/11:45~22:30
http://www.keens.com/