スタテン島を結ぶフェリーは市民の大事な足

こんにちは。放浪のバックパッカー旅すけです。
いつも股旅ブルースをご覧頂きありがとうございます。

世界を股にかけて旅する股旅ブルース。
今回のぶらりはスタテンフェリーとグランドセントラル駅。
スタテン島へのフェリーを楽しんだ後は老舗レストランでまたもやオイスターを堪能します。

スタテンフェリーから眺める自由の女神。無料の豪華客船に出発!

マンハッタンから南、ニューヨーク湾上にスタテンアイランドがある。
日本人にはあまり聞き慣れない島だが、こちらもれっきとしたニューヨーク市。
面積約260㎢と東京23区の3分の1くらいの島には46万人が住んでいる。
大都会のマンハッタンとは違ってこちらはベッドタウンとして発展し、緑豊かな公園やビーチもある静かな所だ。
街の喧騒に疲れたら、ちょっと立ち寄るにはちょうどいい場所かも知れない。
そんなスタテンアイランドにはマンハッタンから無料フェリーが航行している。
朝は通勤の人々も多くローカル感満載のフェリーらしいのだが、なんと船上から自由の女神像が望めるというではないか。
香港のスターフェリーに、マレーシアのペナンフェリーとこれまで様々乗ってきたフェリー好きパッカーの僕としては乗らない理由がないではないか!!
早速、スタテンフェリー乗り場に向かったのだ。

スタテン島へのフェリー乗り場はバッテリーパーク近くマンハッタンの南端に位置するホワイトホールターミナルから出港している。
地下鉄だとホワイトホールストリート下車が最も近いだろう。
フェリーは365日24時間、無料で営業しているからさすがアメリカと言わざるを得ない。
平日ラッシュ時は15〜20分に1本、平常時は30分に1本の間隔で運行している。
航行時間は約25分間とぼんやり乗るにはピッタリ。
ターミナルは乗船を待つ人たちでごった返しているが、時間になるとゲートが開き一斉に乗り込んだ。
船は3階建てで中から階段で上がれるが、3階は展望できるようになっており大人気。
今回は2階席に座る事にした。
時間になると、フェリーはゆっくり動き出す。乗船時間25分の豪華客船に出発だ!

出港するとマンハッタンのビル郡が遠く遠く離れてゆく。
静かに畝る海原にオレンジの船体が激しい白波を立てて突き進む。
程なくすると霞ゆく彼方に、屹立する巨大な彫像が見えた。
あれこそがスタチューオブリバティ、自由の女神像か!

確かに乗船中に見えるけど、ちょっと遠すぎない!?
いやっこんなもんなんかな、、。
まぁツアー頼んで観光するより安上がりかな。
船が進むにつれ、指先程の女神が遥か彼方に消えゆくのだった。

この時、船内で印象的な場面に遭遇した。
アフリカンアメリカンの老紳士が肌の白い小さな女の子を連れていた。
お孫さんだろうか、2人は仲良さそうに景色を眺めていた。
それとはまた別に白人のお母さんらしき人がアフリカンアメリカンと思しき小さな男の子を連れていた。
席が近かったせいか、小さな男の子が女の子に近寄ると仲良く遊び出した。
老紳士もお母さんも微笑みながら眺めていたら、老紳士がバッグからビニールに入れたビスケットを取り出して男の子と女の子にあげた。
2人は美味しそうに食べていたが、それを見たお母さんも老紳士にお礼を言って微笑んでいた。僕はこの時、強烈な違和感を感じた。
その違和感とは、自分が勝手にイメージしていたアメリカ社会が単なる偏見だったからだ。
テレビや映画で見るアメリカのイメージはやはり差別や犯罪が満ちた場面を想像してしまう。
しかしどうだろうか、今目の前で起きた情景は肌の色や偏見とは無縁の光景だったのだ。
もしかしたらこの老紳士とお母さんが特別だっただけかも知れないし、僕が一瞬の光景だけでわかった気でいるだけかも知れない。
人権問題は今もアメリカにとって大きな問題だろう。
だけどその時、アメリカの良い所を見た気がしてすごく幸せな気分になった。
スタテン島に着く頃、2組は挨拶して下りていった。
僕は彼らの後ろ姿が遠ざかるのをずっと眺めた。

さて、所変わってここはマンハッタンのグランドセントラル駅。
パークアベニュー沿いの42丁目にある、言わずと知れたニューヨーク最大ターミナルなのだが、歴史的建築物としても一見の価値がある。
駅舎はボザール様式と呼ばれ、ヨーロッパ古典主義風な装飾や優美な彫刻、低階層の構造で公共の建物とは思えない風格を醸し出している。
ここと言いブルックリン橋と言い、近代的なビル群に古いヨーロッパ風の建築物が混在している景観は街自体がデチューンされたようで面白い。
これもニューヨークの魅力のひとつなんだろうな。
中に入ってみると、更に驚かされる。広いコンコースも白亜の宮殿の如くヨーロッパ風装飾でまとめられているが、高い天井はドーム型に婉曲しており12の星座が描かれているのだ。
まるで夜空を見上げているかのよう、早朝でもウットリ・・。

そんなグランドセントラルに来た理由だが、先日チェルシーマーケットで牡蠣を食べてから未だ牡蠣熱が収まらないのだ。
あーもっと牡蠣が食べたい!
そんな牡蠣中毒者に耳寄りな情報。
グランドセントラル駅の地下で最上の牡蠣が食べられるとの事。
駅地下グルメなんて日本でもよくあるけど、小さなイートインとかテイクアウトなんじゃないの〜?
半信半疑の疑念を持ちながら地下に下りてみた。
やって来たのはグランドセントラルオイスターバー。

可愛いロゴに風格ある入口、どうやらちゃんとしたレストランみたいだが、まだまだ油断は出来ない。
意を決し中に入ってみるとビツクリ!
天井がタイルのドーム型で昔のミルクホールのような趣きある店内になっていた。

それもそのはず、なんと創業は1913年。
長年ニューヨーカーたちに愛されて来たんだなぁ。
テーブルにつくと早速注文、頼んだのは生牡蠣やムール貝、シュリンプの盛り合わせ。

牡蠣は数種類頼んだけど、どれも濃厚で美味しい!レモンの酸味と潮の香りが鼻腔を突き抜ける!ウマすぎてガッデ〜ム!クラムチャウダーも優しいお味。

クリーミーなスープにクラッカー乗せたら、贅沢スープに早変わり。
中毒者続出間違いなしだな。

まさかニューヨークの駅地下にこんな美味しい牡蠣レストランがあるとは、さすがニューヨークだな。けど、牡蠣美味しすぎて、牡蠣熱収まるどころか余計に火がついてしまったような。CCBだったら止めてくれるかも。♪だ、れ、か、牡蠣熱、と、め、て!

今回も股旅ブルース、最後までお読みいただきありがとうございました。
次回、73話 トロントに舞い降りた天使と鬼
をお送りします。

Grand Central Oyster Bar
グランドセントラルオイスターバー
89 E 42nd St, New York, NY 10017 アメリカ合衆国
☎+12124906650/11:30~20:30 土日定休
http://www.oysterbarny.com/