中腹にぽっかり口を開けた洞窟が聖域へと誘う

こんにちは。放浪のバックパッカー旅すけです。
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世界を股にかけて旅する股旅ブルース。
今回はクアラルンプール北部にあるバトゥケイブを訪れます。
神秘的な鍾乳洞には目を疑う程の絶景が待っているのでした。

金色の巨大神像に導かれ、洞窟奥地に眠るのはヒンドゥー教の聖地だった。

ジリジリと照りつける太陽が高くなり始めた頃、僕たちはクアラルンプールのとある鉄道駅に降り立った。
早朝から出発したトラベルハブゲストハウスの1dayトリップも4ヶ所目となった。
駅の名はズバリバトゥ洞窟駅。
クアラルンプールの中心地から北に14kmの場所にあるのだが、洞窟とは。
はて?クアラルンプールに洞窟なんぞあるんだろうか?
ガイドブックとか見ても大きくは掲載されてないようだし、穴場スポットだろうか?
心霊スポットなら帰るぞ、稲川淳二呼んでくれ。
しかし、今回のガイドであるゲストハウス受付のムスタファはズンズン進むではないか。
駅からの道は屋台も参道のように連なっている。

程なくすると彼方に小高い山となにやら観音像のようなオブジェが見えて来た。
なんだここは!成田山か!?

近づくと金色の巨大神像が山の麓に屹立し、傍には数百段もの階段が山の中腹にポッカリと空いた洞窟らしき穴に向かって設てあった。
金色の神像はその装飾や佇まいからインドの神様ではないかと予想される。
階段や、入口の門構えもカラフルで多彩な彫刻に溢れている。
なるほど、おそらくヒンドゥー教の宗教施設だろう。
しかし、寺院らしき建物が見当たらないなぁ。
周囲は土産屋や神様のレリーフが数店舗とハヌマーンの従者だろうか、野良猿が屯しているだけだった。

しかしハヌマーンの像は筋骨隆々すぎるような気もするが・・。
ムスタファに聞くとなんとあの鬼の階段を登り洞窟内部に入るとゆうのだ!

ぎょえ〜!!この炎天下の中、階段登るのか!?
後にも引けず、嫌々ながら思い足を上げるのだった。

どれぐらい登っただろうか、汗が背筋に滴るのを感じ始めた頃ようやく洞窟入口まで辿り着いた。
既に息も切れぎれ、ひと休みして奥に進むと驚くべき光景が広がっていた。

下からはわからなかったが、いざ洞窟に入ってみると内部は想像以上に広大である事に気づく。

高さ200メートルはあろうかと思われる天井は鍾乳石が無数に連なり、床はセメントで舗装されレーンのように区切られていた。
なにより驚くべきは奥に行くにつれ明るくなっていた。

それは人工的な照明で照らされているのではなく、なんと山頂にポッカリと開いた空洞から自然光が降り注いでいたのだ。
そしてスポットのような光に照らされていたのは、それまで謎だったヒンドゥー寺院の本堂であったのだ。

その光景は息を飲む程美しく、神格化された神々の威厳を誇示するかのような絶対的な聖地だった。
奇跡的なシチュエーションは小説やゲームで見られるファンタジーのようだが、実際目にすると神仏の存在を信じてしまいそうで恐れ慄いてしまう。

まさかクアラルンプールでこんな神聖な絶景が拝めるとは思わなかった。
実はこのバトゥ洞窟、ヒンドゥー教の聖地でもあり、毎年“タイプーサム”と呼ばれる奇祭の会場でもある。

タイプーサムとはヒンドゥー教の伝統的な祭で毎年1〜2月の満月の日に開催される。
奇祭と呼ばれる所以はその催しだろう。
ヒンドゥー教の教えでもある禁欲主義や自己感性の研ぎ澄ます事を目的とし、苦行を通じて敬虔な信仰心を示すのだ。
ヒンドゥー教徒の男性が装飾の槍を体や舌、頬に突き刺し練り歩く姿は私たちからすると目を覆う程だろう。
事実、本国のインドでは開催が禁止されていると言うのだから想像を遥かに絶する。
信仰とは本当に凄いものだ、聖地の光を浴びながら改めて感慨に浸るのだった。

バトゥ洞窟から帰ってくると、ムスタファとツアー客のみんなが待ってくれていた。
今から近くの食堂でランチとの事。
たくさん歩いたから腹ペコペコだぜ。
行ってみるとカレーとチャパティの簡単なランチだった。
バトゥ洞窟眺めながらのランチは雰囲気抜群!余計に美味しくなるな〜。
腹ごしらえして次の目的地に出発するのだった。

今回も股旅ブルース、最後までお読みいただきありがとうございました。
次回、80話 クアラルンプールのペトロナスタワーを見上げます
をお送りします。

バトゥ洞窟
Batu Caves
Gombak, 68100 Batu Caves, Selangor, マレーシア
☎+60361896284
http://www.tourism.gov.my/en/nl/web-page/places/states-of-malaysia/selangor/batu-caves