砂漠に沈む巨大な夕陽が空を燃やす

こんにちは。中年バックパッカー旅すけです。
いつも股旅ブルースをお読み頂きありがとうございます。

世界を股にかけて旅する股旅ブルース。
前回まで、サハラ砂漠の広大さに圧倒されすぎてオチのない文章になってしまう中年ブロガーでしたが
今回は砂漠キャンプでの一夜を過ごします。

サハラ砂漠に沈む夕陽と星々の輝き絶景オンパレード。

サハラ砂漠のキャンプは小さいテントが5棟と大きめのテントが1棟建っていた。おそらく小さいのが各自の宿泊用で、大きいのは食事用のテントだろう。
各テントは鉄筋で頑丈に設営されており、各々をつなぐように地面にはトルコ絨毯のような物が敷かれていた。
入口にはモロッコランプが設てあり、こんな砂漠のど真ん中でもそこはかとなく雰囲気を醸し出しているのはうれしい演出だ。

ラクダを降りると先にバギーで到着していたマダムが出迎えてくれた。
快適だったけど、あっと言う間だったと少しガッカリしていた。
僕たちは一旦荷物を降ろす為各テントに案内された。テント内は4畳程の広さにシングルベッドが2台、天井には小さなシェードをかぶった裸電球が垂れ下がりゆらゆらと揺れていた。
お世辞にも豪華とは言えない簡素な設備だったが、中年のバックパッカーが一晩を明かすには十分だった。

荷物を下ろし外に出るとベルベル人ガイドが、サーフボードで砂丘の上から下らないかと誘ってきた。
あんな高さから滑り落ちるとどんなに心地よいだろう。
僕はふたつ返事で応えた。すぐさまテント横にある砂丘を駆け上がるのだが、そうは言っても高さ100メートルはある山である。すぐにへたり込んでしまった。
見ると別のキャンプのツアー客も登っていたらしく途中で休んでいる。
屈強な外国人でもかなりの高さらしく、しきりにOMGを繰り返していた。
なんとか山頂付近までくると、四方の風景が見張らせた。
言わずもがなだが、どこまでもどこまでも続く砂漠、小高い山から平地まで黄褐色の砂の大地。
宇宙のように果てしない空間にポツンと1人屹立する、こんな感覚を味わうのは生まれて初めてだ。
改めて砂漠の尋常じゃない広さを実感した。

ベルベル人ガイドがサーフボードを渡してくれたので上に座って斜面を下りようとするが、中々の高さ。
少しばかり恐怖を感じたが、僕はこうゆう時無謀である。
思いっきり砂を蹴るとゆっくり進み出した。ボードは徐々にスピードを上げ滑って行く。
風を切って進む感覚は心地よく、スキージャンパーを少し連想した。全然違うだろうけど・・・。
最後は華麗な着地を!とはいかず砂場に転げ落ちた。
体中、砂まみれになったが、マルタン夫婦が見ていたらしく拍手喝采とブラボーの声を頂いた。
ついでに僕の露な姿もカメラで撮ったのでアドレスに送るよと言ってくれた。
相当ドジな写真をやめてくれ〜!!

夕刻になると陽が沈み始める。
周囲に大きな建築物もないせいか、夕陽も更に巨大さを増し、空と砂漠を茜色に染めあげた。
沈む夕陽は地平線に近づくと、その境目を際立たせ暗い大地に灯る火花のように輝いていた。
太陽は沈んだ後も地平線の奥から橙色の余韻を残し、いつまでも空を燃やし続けた。

日が暮れた後はテントにて夕食を取る。
ガイドがハリラやベルベル風オムレツを用意してくれた。

砂丘で駆け回った疲れもあって、手作り料理も一層美味しく感じた。
夜の帳が下りると一気に気温が下がりはじめる。
日中は25〜40度ぐらいはあるが、夜間は0度を下回る事もある。
暖を取る為、ガイドが焚き火を始めた。僕たちはテントから出て、手を擦りながら炎の周りに腰掛けた。真っ暗闇に煌々とゆらめく炎は暖かさだけでなく、穏やかな空気も作り出していた。
マルタンとも色々な事を話した。フランスの事、旅の事、暮らしの事。
昨日まで全く知らなかった他人だったのに旅先で知り合いふれあえる。これも旅の醍醐味のひとつだろう。

焚き火のひとときを過ごすとマルタン夫婦やガイドたちは各テントに戻って行ったが、僕はまだこの砂漠の暗闇を堪能したかった。
とゆうのも、一昨日に見たダデス峡谷の星空が忘れられずサハラ砂漠でも、その星空をこの目に焼き付けておきたかったのだ。
テントの明かりが視界から消える小高い丘まで登ると、毛布にくるまり仰向けに寝転がった。
砂の地面はすでにひんやりと冷たく、昼間の暑さが嘘のようだった。そして見上げた空には覆い尽くす程の星々が燦然と輝いていた。真っ暗な空に散りばめられた数千の星々は頭上から降り注ぐかのように大小様々煌めいていた。ダデス峡谷も美しかったが、こちらも素晴らしい。星の明るさは澄んだ空気によると、何かで読んだがこれほどまでとは。日本の空とは大違いである。僕は宝石に憧れる少女のようにいつまでもいつまでも空を眺めていたのでした。アラフォー中年男ですが・・、何か?

今回も股旅ブルース、最後までお読みいただきありがとうございました。
次回、34話 フェズの別れはマッサラーマ
をお送りします。

Desert Sand Camp
Merzouga, モロッコ
مرزوكة
☎+212650536151
http://www.cameltripmorocco.com/